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小規模宅地特例の改正について

掲載日:平成25年05月分

今回は、平成25年度税制改正の「小規模宅地の特例」について、改正のポイントを解説します。

概要

小規模宅地特例とは、個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額する制度です。

改正内容

  1. 適用対象面積の拡大(適用時期:平成27年1月1日以後の相続、遺贈につき適用)
    1. 居住用宅地の特例限度面積 ⇒ 現行の240㎡から330㎡に拡大されます。
    2. 居住用宅地と事業用宅地の完全併用が可能 ⇒ 現行では居住用と事業用の両方について特例を適用する場合は、一定の調整計算の上、両方合わせて400㎡までしか適用できなかたのが、事業用の限度面積400㎡と居住用の限度面積330㎡を合わせた730㎡までを特例の適用限度面積とすることができます。
      ※なお、貸付事業用宅地は、限度面積につき現行の調整計算を行う。
  2. 居住用宅地適用要件の緩和(適用時期:平成26年1月1日以後の相続、遺贈につき適用)
    1. 被相続人が老人ホームに入所していて空家になっていた場合
      居住用宅地の特例を受けるためには、その宅地が相続開始直前に被相続人が居住している家屋の敷地であることが前提です。その自宅の敷地が「相続開始直前において被相続人が居住していた建物の敷地」といえるかどうかについて、国税当局の見解は、「被相続人が居住していた建物を離れて老人ホームに入所した場合は、生活の拠点も老人ホームに移転したものと考えられるので、原則特例の適用対象とはならない」というものです。
      ただし、病気治療の目的で入所したような場合は生活の拠点が移転したとはいえず、現行でも一定の要件を満たす場合は特例の適用を認めるとしています。
      改正案では、一定の要件をさらに緩和し自宅の敷地について、「被相続人に対する介護が必要なため老人ホームに入所していた」、「老人ホームへの入所前に居住していた家屋を貸付等していないこと」、この2つの要件を満たせば居住用宅地の特例の適用を受けられるとしています。
    2. 二世帯住宅の敷地について
      居住用宅地の特例を受けるためには、相続開始前から被相続人と同じ家屋に同居していた相続人が、その敷地を相続により取得することが必要です。
      被相続人である親の土地の上に二世帯住宅を建てて親子で居住していた場合、その二世帯住宅が親子の居住スペースが完全に分離され、互いに行き来ができないような構造である場合、現行の取り扱いでは「被相続人と同居していた」とは認められず、そのような二世帯住宅の敷 地については特例の適用ができないとされていました。
      改正案では、被相続人と相続人の同居要件について、上記のように「居住スペースが分離しているときは特例の適用を認めない」とする扱いが撤廃されています。したがって前述のような二世帯住宅であっても、特例を受けることができるようになります。

この情報は2013年5月時点の情報を元に執筆されています。最新の情報とは異なる場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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